テレワークで働き方改革は可能か !?
一億総活躍社会実現に向けた取り組みである「働き方改革」だが、特に2013年、国連から是正勧告がされた長時間労働や労働者のメンタルヘルスは、高度経済成長期やバブル景気の「モーレツ」を全否定することでもあり、成功体験のある企業戦士達には受け入れ難い面もある。
旧態依然の体育会系運動部よろしく、理屈は理解できても気持ちの落としどころがないようだ。おそらくは帰属・貢献意識や組織一体感のようなプロセス面への意識の現れであろう。
そんな中、柔軟な働き方を推進する手段の1つであるテレワークは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で期せずして導入が進んだ。
しかしながらテレワークは先の長時間労働や労働者のメンタルヘルス改善に必ずしも有効とは言えない面があるうえ、プロセスの可視化が出来ない限りは極端な成果原理主義にも陥りやすい。
労働生産性(パフォーマンス)の低い社員や会議、決裁稟議等で仕事をしているていの管理職層におけるITリテラシーと計画的なジョブ・アサイン能力等をあぶり出すことになるので、一見、労働者に有利に見えて、実は組織の使い方次第で更なる格差やコストカットの材料にもなり得るのだ。
おそらくテレワークで成果が出せるのはフリーランサーや自営業者同様に自律・自己管理的な働き方が出来る社員で、ネット通販市場の拡大による商流の中抜きやAI(人工知能)が奪う職種と同様、管理職層の存在価値を疑う向きも懸念されるだろう。
緊急事態宣言の中、テレワークが困難な労働者ほど感染リスクにさらされている現実や、行政によるテレワークの推奨、利益享受が見込まれる業者側の利点アピールばかりが目立つので、今回はあえてオブジェクションを唱えてみた。
例えば、全国民一律10万円給付を批判的に報道する際、我が国の家計金融資産の現金・預金率が世界で突出していることや、国民に手厚い給付を実施している国家はそもそも税金が高いという根本的な土台を報じていなかったりで、プロパガンダや一方に偏った情報を鵜呑みにするのは危険極まりない。
つまり、本来基本的人権の尊重が保障された我が国の働き方は労働者各々のワークライフバランスに対する価値観で決めるべきものであり、組織はその意思を尊重できる環境作りを目指すべきなのだ。
結果、労働生産性の向上やメンタルヘルス、コスト削減、事業継続(BCP)等という利益が得られてこそ、テレワークの成功を実感(テレワーク最適化宣言!)できることだろう。